作業は手でやらない方が早いし確実!

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働き方改革セミナーシリーズ第五回です。今までは、
・業務を棚卸してECRSの原則に従い削減し、
・どうしても残った業務に対して、ワークサンプリング法で作業レベルに分解し、主作業(本来価値を生まない業務)以外を極力排する。
というところまでやってきました。

今回は主作業をどうやって早くするか、というお話です。

主作業効率化には機械を使う

人間は、作業の早さや正確さという点において、機械には勝てません。確かに機械は完全ではないし、壊れたり劣化したりすることもありますが、機械を使ってミスをする場合、人間の設定ミスであることが殆どです。それぐらい単純作業に関しては機械に勝てないと思っておいた方が良いです。そのため、機械やシステムに代替できるのならば使っていくのが良いと思います。

そして、初回で「働き方改革の最初にRPAの導入を検討すると失敗する」と言いましたが、ここまでの検討で必要な業務の主作業まで限定できているため、ここから先はRPAを使っていくのが良いです。RPAとは、機械に業務を自動で行なわせてしまう仕組みのことです。

RPAはちょっと・・・という場合、Officeならマクロを設定しておくと言うことがポイントになります。それだけでも単純業務からはかなり解放されます。

RPAやマクロを使う必要の無い業務なら?

RPAやマクロを使う業務は、繰り返し業務に向きます。毎度毎度同じような業務をやることになる場合ですね。しかし、毎回少し条件が違うとか、トータルではマクロを作る時間の方が長く掛かるような業務というものも存在します

ここにまでRPAやマクロを使う必要はないわけです。そこで出てくるのが「両手動作分析」というものです。 両手動作分析というのは、作業を”動作”レベルに分解して、不要な動作を無くすことを検討するものです。 よく職人さんの手の動きを見ていると、それほどバタバタさせているわけでもないのに効率良く動いて生産していくのに対して、僕らが見よう見まねでやってみると、忙しく動くのに全然出来ない・・・というのは、この両手動作分析で判ったりします。何かを作るという作業自体は職人さんも僕たちも変わらないけど、無駄な動作が少ない、というわけです。

例えば、ということでマウスを使っている人がExcelに関数を入力する作業を両手動作分析してみると以下のようになります。

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僕は最初の会社で憧れの経営企画部に配属されたときに「やったあ業績管理が出来るぞ、バリバリ提案するぞ」とか思っていたと思います。しかし、全く頭を使う仕事が出来ないんですね。別にその部署の人たちが意地悪をして「新人は言われたことをそのままこなせ」と言っていた訳ではありません。今でも良い職場だったと思います。その頃の業績管理のフローは以下のようなものでした。

1.各事業部にPL予想数値を入力させるためのExcelシートを送付
2.事業部から返ってくる
3.Excelを集計シートにコピペで転記

とか

1.実績数値をOracleのDatabaseから引っ張ってくる
2.必要になる情報をマスタからvlookupで転記
3.必要になる情報になるようpivotで集計
4.集計シートに転記

とか。

多分これでもまあまあ改善はされている方だと思いますが、当時の自分のExcelスキルが、関数もほぼわかって居なかったため、ただの転記とかそういうような作業でほぼ1日潰れてしまっていたわけです。毎日Excelを見つづける日々。ぷよぷよやテトリスをやり続けた時みたいに、目をつぶってもExcel画面。

「このまま死んだら墓標に“Excelで集計作業を頑張った男、ここに眠る”って書かれてしまう!」

とか思いました。そんなこと嫌なわけです。中高と勉強頑張ってきて、一応四年制大学を出て、「Excelで集計だけして人生終えるの?」と。 まあ現実的には偉くなればその作業からも解放されるんだろうなって思いましたけど、Excelの集計頑張ってて偉くなる絵が見えない。

「よし、やろう。Excel早くなろう」こう思いました。

そして、上記のような両手動作分析をしてみて、無駄な動作を無くす為にマウスを使わず関数を打てるようになればええやん、ということで改善した結果以下のようになったわけです。

Before

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After

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こうすれば、無駄な動作が殆どないから早いということですね。

新技術の導入も考えてみよう

RPA以外にも、最近は音声入力の精度も上がってきたので、原稿を書くならむしろ音声入力の方が早かったりします。これからもきっと効率化の技術はたくさんでてくるでしょう。そんなとき気をつけるべき考えをお伝えしておきます。

例えば、

採用担当者なら「手書きじゃなければ気持ちは伝わらない。履歴書は手書きで書かなければ」

家事をやらない旦那さんが「クックドゥやロボット掃除機・食洗機は甘え」

とか言ってしまうケースはよくあります。このように、テクノロジーに対する認識は世代間でギャップがあるということを、ダグラス・アダムスは以下のように指摘しています。

・人は自分が生まれたときに既に存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。
・15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられる。

皆さんの中の、機械を使って省力化することへの罪悪感が少しでも薄れれば幸いです。

それでも機械の導入に反対だ!と仰るのなら、水道から水を飲むのは今すぐやめて、毎回川まで水を汲みに行く生活を選ぶと良いです。もちろん車や自転車は使ったらだめですよ。徹底しないと。

効率化を果たした先にある落とし穴について

最後に、「RPAやマクロなどで主作業が早く終わるようになると、ついつい余計な業務を増やしてしまう」という点には注意が必要です。特に勤勉な方に見られがちな危険な傾向です。働き方改革を何のためにしようとしているのか、という原点に立ち返る必要がある訳です。

今まで不要な業務を削減してきたのは、「何となくやっておいた方が良いような気がする」業務をするためでしたっけ?

早く帰りたい、勉強をしたい、創造的な業務に時間を使いたい、というようなことだった筈です。働き方改革を進めていると、業務削減に注意が向いてしまいますが、「付加価値を生む業務にシフトする」ということが目的だった筈です。

今日のまとめ

・主作業を早くするのに効くのがRPAやマクロ。効果は絶大。
・RPA出来ないものについては両手動作分析で作業を動作レベルで分析。
・音声入力やショートカットなど、新しい技術も積極的に導入していきましょう

必要に応じて適宜追記はしますが、ここまででweb上の働き方改革無料セミナーの本編は終わりです。ちょっと人事に関係ないようにも見えますが、人手不足の中で企業をどう存続・発展させていくか、という点では割と人事の中核になるところかな、と思います。
もし企業内で説明をご希望される場合や、実際にプロジェクトとして進められたい場合はご連絡ください。

最後に、働き方改革の一番の難所について。
今まで紹介したセオリーは、多分皆さん理解出来ないレベルのことは無いと思います。 しかし、実際に働き方改革を進めていくのに問題になるのは、実は「自分自身」であったりします。
企業内部の目線で見ると「この業務が必要かどうか」の客観的評価が出来ないからです。外の目線から見た指摘が有効であるケースは結構多い印象です。