同業他社との比較
自社の賃金カーブに加え、厚生労働省が提供している賃金構造基本統計調査のデータを用いることで、同業他社や他業種と比べ、自社の給与が十分なのか・見劣りするのかを分析することが可能です。こちらのやり方も、今までのやり方と同様、自社の賃金カーブに賃金構造基本統計調査のデータを重ねることで分析することが可能となります。
賃金構造基本統計調査は、業種・地域・企業規模毎のデータを取得することが出来ますので、必要に応じて使い分けると良いでしょう。
例えば上記のような形になった場合、入社直後は他社と給与が変わらないが、30歳前後から差が明確となっているということがわかります。このような状態を放置していると、入社から手塩に掛けて育成し、働き盛りになった頃に離職してしまう…という問題が発生してしまうわけです。
年功度合い
多項式近似曲線を2次関数で表示した際のAx2+Bx+CのAの値によって年功度合いをある程度推し量ることが出来ます。
最初のAが正であるということは、下に凸(懐かしいですね)の賃金カーブであると言うことなので、最初のウチは昇給し辛く、後になってからぐぐっと上がる昇給の仕方をするということです。
つまり、20-30歳の時の昇給の仕方より、50-60歳の昇給の仕方の方が大きくなると言うことでもあります。(≒年功的)
また、年功的な運用でなくとも、管理職昇格時にかなり大きく昇給する場合、後からの上がり幅が大きくなるためこの形になることがあります。
逆に、Aが負であるということは、上に凸の賃金カーブであるということなので、若いうちの昇給具合が大きいと言うことでもあります。
そして、Aが0に近い場合は、1次関数的ということなので、どの年代でもほぼ同じぐらいの昇給をすると言うことになります。この図では右肩上がりで記載していますが、全く昇給しない場合(AもBも0)も同様です。
まとめると:
年功的・非年功的 どちらが良いの?
Aが正の方がよいのか(年功的)・負の方が良いのか(非年功的)については、一概にどうとは言えません。企業の考え方次第です。これが問題になるのは「年功式で人が確保出来なくなってきた」ときと「意図してないのに年功的になっていた」という場合です。
年功式で人が確保出来なくなってきた ということについては、多くの企業で見られています。転職がアタリマエになってきた昨今、年功的昇給を設計している企業は、非年功昇給をしている企業に比べて若手の給与が見劣ります。そのため、若手の離職や採用力の低下に繋がりやすくなります。
意図していないのに年功的になっていた というのは、主に制度の運用が問題であることが多いです。制度としては年齢で昇給しないように作っているのに、現場が勝手に年功昇給的な運用をしているということですね。 例えば、A評価で9000円 B評価で6000円 C評価で3000円 D評価は昇給無し、としている企業において、「本来であればD評価が妥当だけど、昇給しないのはかわいそうだからC評価にしておこう」とかするような運用がはびこると、それはすなわち年功昇給が発生するわけです。
昇給度合い
次に、多項式近似曲線を2次関数で表示した際のAx2+Bx+CのCの値によって昇給程度をある程度推し量ることが出来ます。
Cが最終的な到達地点(定年が60歳なら60歳時点の給与)とほぼ変わらないということは、その企業に何年居てもそれほど給与が上がらないということになります。
逆に、Cがマイナスになるようなことあがれば、入社してからの給与の伸びがかなり大きいということとなるわけです。
ほぼ昇給しない企業であるということは、その企業の中で積んだ経験が収益にほぼ影響しないと言うことでもあります。